毎日飲む“水”どのように選んでいる?専門家が実践する、一歩踏み込んだ水の選び方
東京ウォーカー(全国版)
健康志向の高まりとウェルビーイングの浸透を追い風に、日本のミネラルウォーター市場は拡大の一途をたどっている。
コンビニの飲料棚を見れば変化は一目瞭然だ。かつての主流だった数種類の天然水に加え、シリカなどの希少成分を含む機能性商品や海外の炭酸水まで、選択肢は多様化している。
「水を買う」文化が定着した今、商品選びに迷ったことがある人もいるかもしれない。そして結局、違いが分からず「なんとなく」手に取ってしまってはいないだろうか。
そうしたなか、「水こそ、最も環境や土地の個性が現れる飲み物です」と話すのが、食と健康の専門家・織田剛さんだ。
そこで今回は、意外に見落とされがちな水の「環境指標」に焦点を当て、プロである織田さんが重視する選定基準と、日々の生活に取り入れたい賢い水の選び方について話を聞いた。
“透明=均質”ではない?知っておきたい水質の個性
ペットボトルに詰められた透明な液体は、一見どれも清浄で均質だ。メーカーが打ち出すクリーンな印象もあり、消費者はどれを選んでも同じと信じ込んでいる人もいるかもしれない。
「簡易検査を行うと、それぞれの水に含まれるミネラルや成分のバランス、その個性がはっきりと見えてきます。試薬を使った反応を見ることで、一口に水と言っても多様な特徴があることがわかります。『ペットボトルだからどれも同じ』と何気なく手に取るだけでなく、それぞれの個性を知ることで、自分にぴったりの1本を見つける楽しさが生まれます。透明ゆえに見えにくいですが、中身にはそれぞれの採水地が持つ自然の営みが現れているのです」(織田さん、以下同)
では、何を基準に選ぶべきか。水質への関心が高まるなか、織田さんが1つの目安として提案するのが「硝酸態窒素」だ。これは、より自然環境に近いピュアな状態の水を選ぶための、知る人ぞ知る指標だという。
「硝酸態窒素は、周囲の土壌環境や自然のサイクルが地下水にどのように影響しているかを示す指標です。つまり、その水が育まれた土地の環境がそのまま現れるバロメーターなのです。もちろん、国内で流通している市販水はすべて厳しい安全基準をクリア(※)しており、健康への影響を心配する必要はありません。そのうえで、より自然本来のピュアな状態に近い水にこだわりたいという方にとって、非常に参考になる選択の基準になります」
※法適合はあくまで基準ライン。ミネラルウォーターの硝酸態窒素の規制値は、「亜硝酸性窒素:0.04ミリグラム/リットル以下であること」「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素:10ミリグラム/リットル以下であること」
採水地の条件を見極める。一歩進んだ水の選び方
有名なブランドだから、あるいはトレンドの商品だからといって、必ずしも硝酸態窒素が含まれていないとは限らない。イメージではなく“中身”で選ぶ織田さんは、ボトル裏面のラベルや採水地の背景を確認したり、自分で調べることが大切だと話す。
「たとえば、環境汚染の影響を受けにくい深い地層から採水された水や、自然豊かな保護区で管理されている天然水などは、硝酸態窒素の数値を低く抑えられている傾向があります。出先や身近な場所で水を買うときも、こうした採水地の情報を少し意識するだけで、より自分に合った安心できる選択肢が見つかりやすくなりますよ」
そして織田さんは、さらにこだわりたい人に向けて、手軽な水質検査キットの活用を挙げた。
「私はよく簡易検査ができるパックテスト(※)をおすすめしています。水の特徴を自分の目で確かめてみたいときに、これが本当に役立つんです。イメージだけで選ぶのではなく、気になる水があれば実際に確かめてみて、自分自身の好みに納得したものを選びましょう」
※誰でも手軽に使える水質検査キット
毎日飲む水だからこそ、納得できる1本を
最後に、織田さんにとっての「もったいない水選び」とは何かを尋ねると、それは特定の銘柄のことではなく、「自分なりの基準を持たずに選んだ水」だという。
「採水地も見ず、硝酸態窒素という軸も知らず、無関心のまま選ぶことが1番もったいないです。水は恐れるものではありませんが、かといって無頓着でいいわけでもない。確かな基準を1つ持つだけで楽になりますよ」
水選びは、決して身構えるような特別なことではなく、日々の生活をより良くするための最適化なのだろう。
「私はこれからも、今回ご紹介した方法で水を選び続けます。あなたにもし『これだ!』と思う水があるなら、ぜひ一度検査してみてください」
毎日飲む水だからこそ、それぞれの個性を楽しみながら、自分にぴったりの納得できる1本を選びたいものである。
取材・文=西脇章太
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