コーヒーで旅する日本/関西編|イベントを通じて和歌山コーヒーシーンの魅力を発信。動き続ける地元のキーマン。「MARKET WAKAYAMA」
東京ウォーカー(全国版)
全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも、エリアごとに独自の喫茶文化が根付く関西は、個性的なロースターやバリスタが新たなコーヒーカルチャーを生み出している。そんな関西で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。
関西編の第107回は、和歌山市の「MARKET WAKAYAMA」。店主の仁尾祥吾さんは、和歌山で数々のイベントを手掛け、地元のカルチャーシーンに欠かせないキーマンの一人。今も毎週のようにイベントを企画し、若い世代の拠り所として支持を得ている。とはいえ、「本業はコーヒー屋」という仁尾さん。10年前にコーヒーの魅力と出合って以来、出張喫茶や間借り営業を経て、自店を開業。同時に、WAKAYAMA COFFEE MARKETを主催し、いまや和歌山最大のコーヒーイベントにまで規模を広げている。地元のコーヒーシーンを盛り上げるべく動き続ける仁尾さんが、新たな店やコミュニティが充実するなかで感じた街の変化とは。
Profile|仁尾祥吾(にお・しょうご)
1992年(平成4年)、和歌山市生まれ。高校卒業後、地元企業に就職。仕事の傍ら始めた、和歌山駅前でのファッションスナップが話題となり、地域情報誌LiSMにて6年間、連載を担当。並行して、カフェバーや飲食店でのイベント企画も多数開催。2015年にコーヒーの魅力に出合ったのを機に、喫茶店でのアルバイトやSUISEI COFFEEとして間借り営業を経て、2020年に「MARKET WAKAYAMA」をオープン。同年に和歌山市内で初のコーヒーイベント・WAKAYAMA COFFEE MARKETを開催。毎年、形を変えながら開催を続け、2025年からは県外での出張開催もスタート。
地元を盛り上げる、“多動の人”とコーヒーの出合い
「外からはイベントの人と思われるけど、ベースはコーヒー屋。音楽とかいろいろしているからわかりにくいけど、常にコーヒー屋と名乗っています」という店主の仁尾さん。というのも、普段からコーヒーに限らず大小さまざまなイベントを手掛け、いまや和歌山最大のコーヒーイベントとなったWAKAYAMA COFFEE MARKETの主催者の顔も持つがゆえ。遡れば、高校卒業後、会社勤めをしながら、和歌山駅前のファッションスナップをSNSで始めたのをきっかけに、地元タウン誌で街角スナップや飲食店紹介の連載を担当。並行して、独自の音楽イベント企画や、海南市の人気マルシェの実行委員に携わるなど、地元のカルチャーシーンを盛り上げてきた“多動の人”だ。
そんな仁尾さんが、コーヒーと出合ったのは2015年頃のこと。当時はコーヒーを熱心に飲んでいたわけではなく、知識も何もなかったが、「それでも、何となく興味は持っていた」という仁尾さんが、コーヒーの魅力を見出したのは、2つのコーヒー店との縁を得てからだった。最初の入口となったのは、本連載でも紹介した
The Roasters
。当時、まだ開店1年目、和歌山でスペシャルティコーヒーをいち早く提案し始めた店だ。
「興味本位で、ドリップ教室に参加したんですが、参加者は開業希望がほとんどで、コーヒーの話を聞いても全然わからなかった。でも、この仕事はカッコいいと感じて、たびたび通うようになりました。なにより店主の神谷さんが、店をしながらイベント出店、子育てもしたうえで、東京のコーヒーフェスティバルにも参加していると聞いて、県外で活躍しているのに憧れました」と振り返る。
以来、「他の人はどうやってコーヒーを淹れているのか」が気になりはじめて、各地の店を巡り、タウン誌で紹介する飲食店もカフェやコーヒー店を選ぶことが多くなったという。さらには、東京にも足を延ばし、評判の店を訪ね歩いた時に、決定的な転機が待っていた。「吉祥寺のライトアップコーヒーで、初めて浅煎りのスペシャルティコーヒーを飲んでびっくり。味はもちろん、テイクアウト主体で、お客さんが気軽に集まれるスタンドのスタイルも新鮮で。そのころ、和歌山にはまだなかったから、地元にこういう場を作れないかと思ったんです」
それからは、コーヒー店巡りにも拍車がかかり、会社勤めの傍らカフェでのアルバイトも経験。さらには、The Roastersに通ってコーヒーの知識・技術を学びつつ、2018年から、行きつけのパスタ専門店・赤松で間借りして、SUISEI COFFEEの屋号でコーヒーを提供するまでになった。
「コース料理の締めのコーヒーを僕が担当するという条件で、The Roastersのオリジナルブレンドを使って淹れていました。2年ほど続けたら楽しくて。夜のカフェバーイベントでもコーヒーで出店するようになりました」という仁尾さん。イベント出店の好評を受け、2020年から県外に出張喫茶ツアーを計画したが、好事魔多し。その矢先コロナ禍によって、白紙にせざるを得なくなった。
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