「ニコニコバスツアー」で行った気になるリモート観光!群馬県を巡ってきた〜みなかみ・沼田編、太田・館林編〜

東京ウォーカー(全国版)

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自宅にいながら現地のガイドとともに各地を巡るニコニコバスツアー。群馬県編3回目の今回は、1日目にみなかみ・沼田エリア、2日目は太田・館林エリアを巡る旅をレポートする。草津や伊香保、富岡製糸場といった有名な観光スポットとはまた違った魅力を持つ、これから注目したいエリアの紹介だ。インバウンドなどによる混雑を避け、ゆったりと地域の素顔に触れたい人にとって、まさに「群馬を再発見する」特別なひとときになる。

自然いっぱいのアクティビティが楽しめるのも群馬の魅力のひとつ


ニコニコバスツアーでリモート観光

ニコニコバスツアーは、ニコニコ生放送の公式番組として、現地のバスガイドや解説員とともにリアルタイムで旅を楽しむ新感覚のリモート観光番組だ。視聴者はPCやスマホからニコニコ生放送のサイトやアプリを通じて手軽にアクセスでき、画面越しにコメントを送りながら、まるで一緒にバスに乗っているかのような一体感を味わえるのが最大の魅力。ライブ配信ならではの双方向のやり取りや、現地のリアルな空気感も共有できる点が多くの視聴者に支持されている。 今回まわるのは、利根川源流の自然豊かな「みなかみ・沼田」と、歴史と産業が交差する東部の「太田・館林」エリアだ。里山の風景から最先端の工場、さらに日本唯一のヘビ専門施設まで、群馬の多面的な顔を一気に楽しめる贅沢なコースとなっている。プロの案内で綴られる、普通のガイドブックにはない地域の奥深いストーリー。リモートだからこそ見える視点で、群馬の魅力を存分に味わってほしい。

1日目:ニコニコバスツアー 群馬県みなかみ・沼田編

まずは1日目。利根川の源流が育む豊かな自然に包まれた「みなかみ」と、独特の地形がおもしろい城下町「沼田」をのんびりと巡る。癒やしの温泉宿を拠点に、伝統の手仕事体験や旬のフルーツ、さらには街道名物のとんかつまで。里山の魅力をギュッと詰め込んだ、心もお腹も満たされる欲張りな1日だ。

ニコニコバスツアー1日目みなかみ・沼田エリアの穴場スポットをじっくりと巡る


①赤谷湖の絶景と源泉掛け流しの湯、自家製豆富に癒やされる「豆富懐石 猿ヶ京ホテル」

群馬県みなかみ町、赤谷湖を見下ろす丘の上に立つ「豆富懐石 猿ヶ京ホテル」は、1950年代のダム建設でかつての温泉街が湖底に沈んだあと、現在の高台へと移り、いち早く新たな一歩を踏み出した歴史を持つ宿だ。客室の窓から広がる穏やかな湖面と谷川連峰のパノラマは、地域の歩みとともに築かれた新しい視点そのもの。民芸調の温かみに包まれた館内には、どこか故郷に帰ってきたような安らぎが漂う。

趣ある和風の門に、レトロな赤い丸型ポストが印象的なエントランス


「猿ヶ京」という不思議な地名の名付け親は、あの戦国武将・上杉謙信だという。1560年、関東出兵を控えた謙信がこの地で「箸で膳に向かい、歯が8本抜ける」という奇妙な夢を見た際、家臣が「片端(箸)から関八州(関東)を手中に収める吉兆」と説いたエピソードが残る。この日が庚申(さる)の重なる日だったことから、上機嫌の謙信が「猿ヶ京(さるが今日)」と命名。400年以上の時を超えて語り継がれるこの「吉兆の物語」こそが、今もこの宿が大切にしている、おもてなしの原点となっている。

宿泊客を魅了してやまないのが、温泉街でも屈指の眺望を誇る客室だ。特に赤谷湖側の部屋からは、刻一刻と表情を変える湖面をワイドビューで独占でき、朝霧に包まれる幻想的な夜明けから夜の静寂まで、日常の喧騒を離れてゆったりと過ごせる。全49室、8つのタイプからなる客室は、源泉掛け流しの湯を心ゆくまで楽しめる露天風呂付き客室や、有名ブランド家具を配したエグゼクティブツインなど、旅のスタイルに合わせて選ぶ楽しみも尽きない。

温泉は、猿ヶ京で最も古い源泉「湯島」から引いた100%源泉掛け流し。「鮮度」へのこだわりは、宿の誇りでもある。毎分約150〜165リットルという圧倒的なボリュームで注がれる湯は、弱アルカリ性の柔らかな肌触りで「美肌の湯」として評判を呼ぶ。大浴場「民話の湯」の床には、滑りにくく暖かい「ソフトすのこ」が敷き詰められ、高齢の方や子供の安全、さらには冬場の足元の冷えまで考慮した宿の思いやりが伝わってくる。露天風呂には「あつ湯」と「ぬる湯」が備えられ、湖を眺めながら交互に浸かる「温寒交代浴」を楽しめるほか、鮮度の高い源泉だからこそ可能な「飲泉」もぜひ体験したい。
※温泉は、湯温の調整のため夏季のみ加水あり

赤谷湖の夜景や静かな夜風を感じながら、源泉100%かけ流しの贅沢な湯を堪能できる

開放感あふれる湯治場風の大浴場「草の湯」


そして、この宿を語る上で欠かせないのが、名物の「豆富懐石」だ。「豆腐」ではなく「豆富」と記す表記には、富を分かち合うという願いが込められている。敷地内の工房で、毎朝6時から国産大豆と三国山系の水、天然にがりを使って仕込まれる豆富は濃厚で甘味が強く、看板メニューの「スモークド・トーフ」は、燻製の香りが食欲をそそる唯一無二の珍品として愛されている。

毎朝4時から仕込まれる新鮮な豆富を、前菜からデザートまで多彩なアレンジで楽しめる


▪️豆富懐石 猿ヶ京ホテル
住所:群馬県利根郡みなかみ町猿ヶ京温泉 1171
アクセス:上越新幹線「上毛高原駅」より送迎バスあり(要予約、約25分)、関越自動車道「月夜野IC」より国道17号線経由、車で約20分

②湖畔の絶景と一番風呂、里山のぬくもりに包まれる「まんてん星の湯」

群馬県みなかみ町、赤谷湖を望む高台に位置する「里山体験 まんてん星の湯」は、温泉と里山の文化を一度に楽しめる場所だ。ユネスコエコパークにも登録された、ありのままの自然が残るこの地で、訪れる人をまず迎えてくれるのは猿ヶ京温泉の伝説にちなんだキャラクター「よしお」。どこかノスタルジックな物語の世界へと誘われるような、温かな空気がここには流れている。

ここの一番の自慢は、なんといってもお湯の鮮度だろう。毎日、営業終了後にすべての浴槽の湯を抜き、翌朝には新しい源泉を溜め直す。朝一番に訪れれば、誰の手にも触れていないピカピカの「一番風呂」を独り占めできる。58℃という熱い源泉を、水を足して薄めるのではなく、特製の熱交換器を使って適温にする工夫のおかげで、成分が濃厚なままの「源泉100%」を満喫できるのが贅沢だ。弱アルカリ性の柔らかい湯は肌に優しく、湯上がりは驚くほど肌がすべすべになる。

和風露天風呂「里の湯」は、高台から湖を一望できる、開放感あふれる源泉掛け流しの露天風呂


お風呂は和風の「里の湯」と洋風の「七夕の湯」があり、日替わりで楽しめる。露天風呂から昼間はきらきら輝く湖を、夜はこぼれそうな満天の星空を眺めていると、日頃の疲れもどこかへ消えていく。もっと深い癒やしを求めるなら、専門の先生が監修した本格的な韓国式よもぎ蒸しや、中国手もみ整体で体を整えるのもいい。天然木で作られた貸切温泉もあり、大切な人とプライベートな時間を過ごすのにも最適だ。

洋風露天風呂「七夕の湯」は、円形のジャグジーを備えたモダンな石張りの露天風呂


お風呂のあとは、同じ敷地内の「民話と紙芝居の家」へ。囲炉裏を囲んで地元の語り手が語る昔話を聞いていると、遠い昔にタイムスリップしたような不思議な感覚になる。日本に唯一残っているとされる「のぞきからくり」の実演や、戦前からの貴重なものを含む二千点もの紙芝居など、ここでしか出合えない物語が詰まっている。さらに、本格的な舞台を備えた「でんでこ座 三国館」では大衆演劇の公演も行われており、里山の文化的な深みに触れることができる。

アクティブに過ごしたいなら、季節ごとのアクティビティも見逃せない。穏やかな赤谷湖でカヤックに乗り、切り立った渓谷「駒形峡」を目指せば、湖上からしか見られない絶景に出合える。冬にはスノーシューを履いてふかふかの雪が積もる森へ。スキーができなくても、雪上でのティーブレイクやパウダーサーフ体験で、みなかみの冬を存分に楽しめる。

お腹を空かせて向かいたいのが、お食事処「かざ車」だ。ここでは、甘味のある脂が特徴の上州麦豚のとんかつや、目の前で煮えるのを待ち、自ら卵でとじるライブ感あふれる赤城どりの親子煮など、地産地消にこだわったメニューが味わえる。合わせるのは、お米のコンテストで最高金賞を獲った本多義光さんのコシヒカリ。甘くて粘りの強いご飯に、自家農園「まんてんファーム」で収穫したばかりの瑞々しい野菜が並び、土地の恵みをこれでもかと実感できる。

群馬の銘柄豚「上州麦豚」を使用した上州麦豚とんかつ定食。低温でじっくり揚げた柔らかな肉質と、脂の甘みが特徴


この場所の歴史を辿ると、かつて上杉謙信が吉夢を見たことから「申ヶ今日(さるがきょう)」(=猿ヶ京)と名付けたという伝説や、ダム建設で湖底に沈んだ旧温泉街を、今の高台で再興させた人々の不屈の物語に突き当たる。そんな歴史に思いを馳せながら過ごす時間は、単なる観光以上の、心に残る体験になるはずだ。

▪️里山体験 まんてん星の湯
住所:群馬県利根郡みなかみ町猿ヶ京温泉1150-1
営業時間:平日 10時~20時 / 土日祝 10時~21時(最終受付は閉館1時間前)
定休日:火曜日(祝日の場合は営業)
アクセス:関越自動車道「月夜野IC」から国道17号線を新潟方面へ車で約20分

③里山の原風景と手仕事に出合う。野外博物館「道の駅 たくみの里」

群馬県みなかみ町、谷川連峰の裾野に広がる「たくみの里」は、広大な農村地帯をひとつのテーマパークとして整備した施設だ。敷地内には、江戸時代の宿場町「須川宿」の町並みが保存されている。石畳の道やせせらぎ、屋号が掲げられた看板など、かつての風情が色濃く残るエリアを歩きながら、地域の歴史や文化に触れることができる。

黄金色に輝く田んぼの先に立つ「道の駅 たくみの里 豊楽館」


この里のメインとなるのは、点在する二十数軒の「たくみの家」だ。それぞれの家では、手漉き和紙や竹細工、草木染といった伝統工芸から、陶芸、マッチ絵、子ども向けの食品サンプル作りまで、多様な手仕事の体験が提供されている。職人の指導のもと、実際に自分の手で素材を扱い、形にしていくプロセスを体験できるのが特徴だ。

里内は非常に広いため、総合案内所「豊楽館」で電動アシスト自転車を借りて、里山の風を感じながらサイクリングを楽しむのがおすすめだ。散策の道中には、1309年開山の古刹「泰寧寺」や、県指定重要文化財の「旧大庄屋役宅書院」といった歴史的建造物が点在している。また、里の各所に置かれた9つの「野仏」を巡るスタンプラリーや、秋の「わらアート」、春の「つるし雛」、冬の「竹灯籠」など、季節ごとの催しも定期的に開催されている。

かつて三国街道の宿場町として栄えた「須川宿」の面影を残す情緒豊かな町並みと水車小屋


また、一年を通して旬の果実に出合えるのもこの里の魅力だ。15軒ほどの観光農園では、冬から春のいちご、初夏のさくらんぼ、夏のブルーベリー、秋のりんごやぶどうなど、みなかみの清らかな水で育ったフルーツ収穫体験が楽しめる。自分で摘み取ったばかりの果実をその場で味わう贅沢は、里山ならではの醍醐味といえるだろう。

食事に関しては、地産地消のメニューが充実している。「里山食堂」や「ふれあいの家」では、地元契約農家のそば粉を100%使用した、挽きたて・打ちたての十割そばを味わえる。米は、コンクールで最高金賞を受賞したブランド米「水月夜」が使用されている。ほかにも、注文を受けてから揚げる「生揚げ」や、非常に濃厚な味わいで知られる「のむヨーグルト」、水切りタイプの「塩ヨーグルト」など、地元の素材を活かした特産品がそろっている。

たくみの里で採れたそばの実を石臼で挽いた粉を使い、職人の丁寧な指導を受けながらそば打ち体験ができる


三国街道の要衝として栄えた歴史背景を基盤に、職人の技術や土地の恵みを多角的に体験できる「たくみの里」。一度の訪問では回りきれないほどの体験メニューがあり、季節を変えて訪れることで、また異なる里山の側面を知ることができる場所だ。

▪️道の駅 たくみの里
住所:群馬県利根郡みなかみ町須川847
営業時間:9時~17時(11月下旬~3月中旬は16時閉店)

アクセス:関越自動車道「月夜野IC」から車で約20分

④上州沼田とんかつ街道の絶景と厚切りカツ。名店「とんかつトミタ」

群馬県沼田市、国道120号線沿いの通称「上州沼田とんかつ街道」で約60年の歴史を刻むのが「とんかつトミタ」だ。ここは、県産の高品質な豚肉を使うという誇りを共有する店が集まる街道の中でも、とりわけ象徴的な一軒として愛され続けている。初代店主がこの地の眺望に惚れ込み、景色を眺めながら食事ができるようにと今の場所へ店を構えた経緯があり、座敷席の大きな窓からは片品川が作り出した階段状に形成された地形・河岸段丘のダイナミックなパノラマを一望できる。

国道120号沿いに立つ「とんかつトミタ」の看板


主役となるのは、群馬県産のブランド豚「上州麦豚」や「下仁田ポーク」を使用したこだわりのとんかつだ。特に上州麦豚は、麦類中心の飼料で育てられており、一般的な豚肉に比べてビタミンB1が約1.5倍も豊富に含まれているという。きめ細かく柔らかな肉質と、口の中でさらりと溶ける脂身の甘味が特徴で、旅の疲れを癒やすエネルギーを補給するにはぴったりの食材だ。

厚切りで肉厚な「上ロースかつ」。低温でじっくり揚げることで、柔らかくジューシーな質感に仕上げられている


調理の工程にも、老舗ならではの職人技と徹底した自家製へのこだわりが貫かれている。衣に使うパン粉は、特製の食パンを冷蔵庫で寝かせて熟成させたあと、手作業で細かく削り出したもの。ラードをブレンドした油で、肉の状態を見極めながら低温でじっくりと揚げていく。サクサクと軽い食感の衣の中には、驚くほどジューシーな肉の旨味が閉じ込められている。

看板メニューの「上ロースカツ定食」は、260グラムという圧倒的なボリュームを誇るリブロースが主役だ。これに合わせるソースやお新香、さらには味噌汁の味噌にいたるまで、既製品に頼らず店で仕込んでいる。定食の脇を固める「なめこ汁」は、揚げ物の脂をさっぱりと流してくれる口直しとしての役割も果たしており、重量感のあるカツを最後まで飽きさせずに完食させてくれる。

ボリューム満点の揚げ物盛り合わせ。名物の「えだまメンチ」や大きなエビフライ、ヒレカツなどが美しく盛り付けられた一皿

卵でとじられた厚切りのとんかつがぎっしりと詰められた「かつ重」


また、沼田ならではのご当地グルメ「えだまメンチ」がセットになったメニューも人気が高い。地元の高校生が考案したというこのメンチは、ジューシーな肉汁の中に沼田特産の枝豆がゴロゴロと入っており、独特の食感と香りが楽しめる。店内には、かつてこの味を愛した石原裕次郎の色紙や、NHK『ブラタモリ』でタモリさんが訪れた際の記録も飾られており、多くの著名人に愛されてきた歴史を物語っている。

「とんかつトミタ」の特製テイクアウト包装。お店のロゴが入った包装紙で丁寧に包まれている


広大な駐車場を備え、キャッシュレス決済にも対応している利便性の高さも魅力のひとつ。絶景を背景に、土地の恵みを厚切りのカツで心ゆくまで堪能できるこの場所は、沼田を訪れるなら外せない食の拠点といえる。

▪️とんかつトミタ
住所:群馬県沼田市下久屋町767-7
営業時間:11時~20時(LO19:30)
定休日:水曜・第一木曜、年始年末
アクセス:関越自動車道「沼田IC」より車で約5分~10分

⑤できたての生ゆばを心ゆくまで。食のエンターテインメントを楽しむ「生ゆば処 町田屋」

群馬県沼田市、日光から尾瀬へと続く日本ロマンチック街道沿いに位置する「生ゆば処 町田屋」は、1950年の創業以来、大豆の可能性を追求し続けてきた老舗の豆腐店だ。かつては高級食材のイメージが強かったゆばを、誰もが気軽に楽しめる体験型グルメへと進化させたことで、今や沼田観光には欠かせない目的地となっている。製造現場の活気をそのまま肌で感じられる店内には、ゆばが次々と出来上がる様子を目の当たりにできる、日本最大級のゆば窯が鎮座している。

1950年(昭和25年)創業の「生ゆば処 町田屋」。国道120号(日本ロマンチック街道)沿いにあり、大きな三角屋根が目印


ここでの注目は、800円という手頃な価格で楽しめる「生ゆばすくい体験」。豆乳の表面に膜が張るまでの40秒から60秒ほどをじっと見守り、一瞬の隙を突いて竹串を滑り込ませてすくい上げる。その楽しさは、単なる食事を超えたワクワク感を与えてくれる。出来立ての生ゆばは驚くほどクリーミーで、口の中に濃厚な豆の甘味が広がる。さらに醤油やポン酢といった定番だけでなく、カレーやラーメンスープ、はちみつきな粉など、多彩なトッピングで味を変えながら楽しめるのも、この店らしい遊び心だ。

すくい上げたばかりの生ゆばは、温かくて柔らかく、とろとろとした絶品の食感が特徴


体験に含まれるのはゆばだけではない。4種類の自家製豆腐や、月替わりの惣菜、デザートまでが食べ放題という充実ぶりだ。特におからサラダや揚げゆばの煮物などは、これを目当てに訪れるファンも多い。さらに驚くべきは飲料のサービスで、ソフトドリンクはもちろん、梅酒や日本酒、ウイスキーといったアルコール類までが飲み放題に含まれている。店主やスタッフの気さくで温かな接客も相まって、店内は常に活気と笑顔に満ちている。

工場内にずらりと並んだ木枠のゆば窯。モクモクと湯気が立ち上がる中、送風機で風を当てることで次々と新しいゆばが作られていく


こうした体験の興奮を支えているのは、一切の妥協を排した素材へのこだわりだ。赤城山や武尊山に育まれた清冽な天然水と、国産大豆100%のみを使用。不純物のない純粋な水が豆乳のポテンシャルを最大限に引き出し、雑味のない純粋なおいしさを生み出している。工場内には豆乳を絞る際に漂う香ばしい香りが満ち、本物の製造拠点ならではのリアリティが、食体験の価値をより一層高めてくれる。

お土産選びもここを訪れる楽しみのひとつ。開発に数年を要したという「ゆばパリパリ揚げ」は、1日45袋限定という希少性もあり、指で触れると砕けてしまいそうなほどの繊細な食感が人気を博している。また、買い物をすると保冷剤代わりに「冷凍生おから」を付けてくれるサービスもあり、食材を無駄にしない持続可能性と、地域に根ざした豆腐店ならではの心遣いが感じられる。吹割の滝などの観光スポットからもほど近く、職人の技術と大豆の恵みを心ゆくまで満喫できる、まさに食のデスティネーションといえる一軒だ。

▪️生ゆば処 町田屋(白沢店)
住所:群馬県沼田市白沢町上古語父176-1
営業時間:10時~17時30分(ゆば体験受付は15時まで)
定休日:なし
アクセス:関越自動車道「沼田IC」より車で約10分(国道120号沿い)

⑥一年中、旬の味覚と出合える。沼田観光のゲートウェイ「果実の里 原田農園」

群馬県沼田市、関越自動車道の沼田インターチェンジから車を走らせてわずか2分。「果実の里 原田農園」は、一年中途切れることなく旬の味覚に出合える、沼田観光の玄関口のような場所だ。インターからすぐという立地は、冬の雪道に慣れない旅行者にとっても心理的なハードルを下げてくれる。ここでは、単に果実を収穫するだけでなく、土地の恵みを加工し、食し、体験するという、多角的な里山の楽しみが凝縮されている。

1階には自家製スイーツやお土産が並ぶ売店、2階には団体客も収容可能な大規模なお食事処を備えた「原田農園」の建物


この農園の代名詞とも言えるのが、初夏まで長期間楽しめるいちご狩り。あらゆる世代が心地よく過ごせるように、大人の胸ほどの高さで栽培する「高設栽培」が導入されている。屈まずに収穫できるこの仕組みは、小さな子供から足腰に不安のある高齢者まで、誰もが楽な姿勢で瑞々しい実を摘み取れる。通路も広くフラットに設計されており、ベビーカーや車椅子でも気兼ねなく入園できるのはうれしい配慮だ。群馬生まれの「やよいひめ」をはじめとする大粒のいちごが、全天候型のハウス内で大切に育てられている。

立ったまま楽な姿勢で収穫できる「高設栽培」を採用したいちごハウス


いちごのシーズンに次いで人気なのが、秋の主役となるりんご狩りだ。群馬県が誇る希少品種「ぐんま名月」や定番の「ふじ」など、14種類以上もの品種が時期を変えて実を結ぶ。広大な園内では、スタッフがその場でりんごの皮をむいて提供してくれるサービスもあり、こうした手仕事の温かみが、オートメーション化された現代の観光にはない安らぎを感じさせてくれる。もちろん、さくらんぼや桃、ぶどうなど、訪れる時期に合わせて「今、一番おいしいもの」が常に用意されている。

「原田農園」で収穫された大粒で色鮮やかないちご


食事の満足度も高く、特に山あいの農園で楽しむ「カニ三昧食べ放題」は、意外性のある名物として多くの人を驚かせている。地元のブランド肉を使ったバーベキューや、上州うどんといった郷土の味覚もそろい、収穫体験とセットで楽しむことで、沼田の食の豊かさを存分に味わえる。旬の果実を使ってジャムやパフェを作る体験コースもあり、滞在するほどにこの場所の魅力は深まっていく。

土産選びには、自社工房で作られるオリジナルの加工品が欠かせない。一番の人気は、国産りんごを丸ごと一個、贅沢にシロップ煮にして包み込んだバウムクーヘン「はらだのくーへん」だ。しっとりとした生地とシャキシャキしたりんごの食感の対比が楽しく、沼田の恵みを持ち帰ることができる。他にも焼きたてのアップルパイや自家製カステラなど、素材の鮮度を活かしたプロダクトが並ぶ。

「幻のりんご」とも称される希少品種「ぐんま名月」を贅沢に使用した100%ストレートジュース


徹底した顧客視点の設備と、地域社会と共生しながら守り続ける伝統的な農園の活気。原田農園が提供しているのは、単なる農産物の販売ではなく、四季折々の豊かさを五感で味わう贅沢な時間そのものだ。

▪️果実の里 原田農園
住所:群馬県沼田市横塚町1294
営業時間:8時30分~17時
定休日:なし
アクセス:関越自動車道「沼田IC」より車で約2分

⑦甦るヨーロッパの古城。石の文化と物語が息づく「大理石村ロックハート城」

群馬県高山村、広大な敷地を進むと不意に姿を見せる「大理石村ロックハート城」は、1829年にスコットランドで建設された本物の古城を移築・復元した石のテーマパークだ。この城が辿った道筋は、ひとつの壮大な物語のようでもある。俳優の津川雅彦さんが、私費を投じてスコットランドの「ミルトン・ロックハート・ハウス」を購入したことからすべては始まった。1988年に現地で解体された約4000個、総重量3200トンにも及ぶ石材は、当時のソ連・ゴルバチョフ書記長の快諾を得てシベリア鉄道を経由し、はるばる日本へと運ばれた。数々の困難に見舞われながらも、地元の石材会社がその情熱を引き継ぎ、15億円の費用と延べ1万5000人のスタッフを投入。1993年4月6日の「城の日」に、現在の地で復元を遂げた。

ロックハート城の正面。1829年にスコットランドで建設された当時の砂岩を用いた建築様式を間近に見ることができる


日本で初めてヨーロッパの古城を完全移築したその景観は、中世ヨーロッパからそのまま切り取ってきたかのような迫力がある。移築に際し、城の名をあえて愛を象徴する「Lockheart」へと綴りを変えた点に、この施設のアイデンティティが表れている。約200年の時を刻んだ砂岩が放つ質感は、現代の建築資材では出せない落ち着きを持っており、日常の忙しさを忘れさせてくれるような静かな空気が流れている。

クリスマスの時期に「Merry Christmas」の文字とイルミネーションで彩られたロックハート城


この城の代名詞とも言えるのが、500着以上のラインナップを誇る「プリンセスドレス体験」だ。成人女性用は5号から25号まで、子供用や男性用のタキシードもそろっており、家族やカップルで憧れの姿に変身して記念撮影を楽しむ姿が絶えない。プロのカメラマンによる撮影サービスを利用すれば、歴史ある石壁を背景に、映画のワンシーンのような一枚を残すこともできる。また、城内には名誉城主である津川さんの情熱が詰まった多彩なミュージムが点在しており、1100体以上の「世界のサンタミュージアム」や、お城に関する書籍1000冊を収めた「世界の城ライブラリー」、さらには石の博物館など、知的好奇心を刺激する展示が数多くそろっている。

ロックハート城の広大な敷地を案内するカラーの公式ガイドマップ

石造りの建物が並ぶエリアにある「体験コーナー」


ここは多くの名作が生まれた「映像の聖地」としての顔も持っている。映画『翔んで埼玉』やドラマ『相棒』シリーズなど、数えきれないほどの作品の舞台となってきた。特に『相棒』では、かつてこの城を日本へ運んだ津川さん自身が出演したエピソードもあり、ファンにとっては外せないスポットとなっている。さらに「恋人の聖地」としても選定されており、本格的な石造りの教会や、パワースポット「風と光の丘」など、ロマンチックな演出が随所に散りばめられている。

オープンカフェ「パトリシア」で提供されている「ロケ地カレー」の紹介ボード


散策に疲れたら、ロックハート城を正面に望むレストラン「ビッグハート」や、自家製スコーンが楽しめるオープンカフェ「パトリシア」でひと休憩。ワンちゃんとの入園もOKなので、テラス席で一緒に過ごせたり、専用ドレスのレンタルがあるのも愛犬家にとっては高ポイント。スコットランドの歴史と日本の技術が重なり合い、訪れるたびに新しい発見がある場所だ。

▪️大理石村ロックハート城
住所:群馬県吾妻郡高山村5583-1
定休日:なし
営業時間:9時~17時(最終入場16時30分)

アクセス:関越自動車道「沼田IC」より車で約20分

⑧本物の宇宙と出合う。山頂に広がる星空の窓口「キーテクノロジーぐんま天文台」

群馬県高山村、標高885メートルの山頂に立つ「キーテクノロジーぐんま天文台」は、頭上に広がる無限の宇宙と、日々の暮らしをつないでくれる場所だ。1994年に日本人女性初の宇宙飛行士として向井千秋さんが宇宙へ飛び出した、その夢を形にするようにして1999年に誕生した。専門家が夜な夜な星を追いかける研究施設でありながら、誰もが本物の宇宙に触れられる「開かれた窓」として親しまれている。

宇宙や天体について学べる解説パネルや、展示物が並ぶ本館内部の様子

磯崎新アトリエが設計した、ジャンタル・マンタル(インドの古代観測施設)やストーンヘンジを再現した広場と、その奥に立つ天文台


この天文台の拠点には、主鏡の直径が150センチメートルという巨大な反射望遠鏡が設置されている。驚くべきは、これほど大きな望遠鏡でありながら、実際に自分の目で覗き込める仕組みが備わっていることだ。通常、このクラスの大型望遠鏡はデータ観測専用で、直接覗くことはまずできない。けれど、ここではあえて「直接覗く」ことにこだわっている。モニター越しの画像ではなく、数万年、数億年という長い旅路を経て届いた「星の光」を自分の目でしっかりと確かめることで、宇宙のスケールを知識ではなく、一生ものの体験として心に刻み込むことができる。

11mドーム内に設置されている150cm反射望遠鏡。実際に目で覗くことができるものとして、世界最大級の望遠鏡


天文台のおもしろさは、最先端の科学と人類が積み重ねてきた歴史が背中合わせに存在している点にもある。世界的建築家・磯崎新さんのアトリエが設計した敷地内を歩けば、18世紀インドの観測施設を再現した「ジャンタル・マンタル」や、英国の巨石遺構を思わせる「ストーンサークル」が次々と現れる。巨大な日時計が1分単位の精度で時を刻み、古くから人々が抱いてきた宇宙への思いが、今の最新技術と一緒に並んでいる。その光景は、まるで時空を超えたテーマパークのようだ。

150cm望遠鏡などで観察できる、環(わ)を持った土星


澄み渡る山頂の空の透明度は格別だ。土星の環や月のクレーターの凹凸、さらに星のゆりかごと呼ばれる星雲の淡い輝き。専門の職員や「星ボラ」と呼ばれるボランティアの方々の解説に耳を傾けながら星空を眺めていると、広大な物語の一部に触れているような不思議な安心感に包まれる。売店で人気の、ちょっと不思議な食感の宇宙食「たこ焼き」を味わいながら見上げる満天の星空は、きっと忘れられない記憶になるだろう。

向井千秋さんが見上げたあの宇宙へと続く扉は、今もここ高山村の山頂で静かに開かれている。古代の遺跡を模したモニュメントから最先端の装置までが並ぶこの場所は、宇宙の一部として生きる豊かさを再認識させてくれる特別な場所といえる。

▪️キーテクノロジーぐんま天文台
住所:群馬県吾妻郡高山村中山6860-86
開館時間:10時~17時(冬期は16時まで)、19時~22時(冬期は18時~21時)
休館日:月曜日(祝日の場合は次の平日)と年末年始(12月27日〜1月5日)
アクセス:関越自動車道「渋川伊香保IC」より車で約25分(駐車場より徒歩約10分〜15分)

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